みんなの想職活動

interview

2026/1/21 掲載

あつまれ!熱血技術者/14

新たな仕事を切り拓き、自分の裁量で勝負する

ものづくりに魅せられ、自分の仕事に心血を注ぐ技術者たち。彼らは、どんなことにこだわり、どうやって課題をクリアしていくのか?ものづくりの世界で凌ぎを削る、熱き技術者たちに迫るこのコーナー。今回は、宮古市にある刈屋建設株式会社の奥地裕介さんの登場です。

今、建設業界では工事現場にICT(情報通信技術)を活用する動きが広がっています。これは、調査、設計、施工といった一連のプロセスにICTを導入することで、生産性の向上を図るもの。刈屋建設も10年ほど前からICT化に取り組み、復興事業をはじめ国道や県道の維持補修工事、治山工事など、幅広い事業を手がけています。

「スーツを着て事務仕事をする自分は想像できなかった」と話すのは、ICT推進部と工事部を兼任する奥地裕介さん(31)。

小さい頃から生コン製造業で働く父に連れられ、よく工事現場を訪れていたという奥地さん。山を切り拓き、林道や擁壁をつくる様子を見るうちに、父のように「自分の腕と裁量で勝負する仕事をしたい」と、建設業を志すようになったといいます。

その後、基礎的な知識や技術を県立の短期大学校で学び、出身地の田野畑村にほど近い宮古市の刈屋建設へ。現場監督として経験を積む一方で、若手ながらICT推進部の部長に抜擢され、社内のICT化をリードしています。

工事部とICT推進部を兼務する奥地さんは社内のICT化を進めるキーマン

業界でも注目を集めるICT化ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょう。
例えば地上で人間が行っていた測量も、ドローンにすることで広範囲を短時間で測量でき、データから3Dモデルを容易に作成することができます。他にも建設マシンの操作を自動化したり、スマホやタブレットで図面や工数のやり取りができるなど、格段に作業効率が上がり、人手も日数も抑えることができるのです。

従来の手動型とは違い、ICTに対応した測量機器は一人でもラクに測量でき、作業効率も大幅にアップ

こうした工事現場のICT化を中心に、仕事の効率化と生産性の向上を推し進めているのが、ICT推進部。
「昨年できたばかりですが、メンバーは3名で、みんな30歳前後の同世代。それぞれ工事部や総務部の仕事と兼務しながら、問題点をピックアップして、どう改善すべきかを話し合っています。うちの会社、ネタだけはたくさんあるんで(笑)」と、奥地さん。

工事部と連動して社内システムの構築も進めており、これまで現場監督が各自で保有していた工事関連データをクラウドに移し、共有化を図っています。申請や報告に必要なWord・Excelの書類データやCADの図面データなど多岐にわたりますが、類似ケースがあった場合にすぐ活用できるのが大きなメリット。
他にも重機の稼働状況や位置情報をLINEで確認できるシステムも開発するなど、仕事を効率化するさまざまな試みにトライしています。

しかし、社員の誰もがデジタルに適応できるわけではなく、年齢や経験によっても理解度はさまざま。ICT機器を使える人がいない現場もあり、そんな時に応援に入るのが奥地さんです。
自分の現場も管理しつつ、別の現場ではドローンを飛ばし、違う現場では機器の操作を根気よくレクチャーする。体がいくつあっても足りませんが、「大事なのはすべての現場にICT化を普及すること」と、奥地さんは強調します。

上下間の壁がなく仲の良い刈屋建設。業界でもいち早く週休二日制を導入するなど働く環境も整えています

「現場も社内もガラッと変えようとしているので、浸透させるまでが大変ですが、新たに変えていく仕事はおもしろいです。時間はかかりますけど、徐々に便利さを実感する人も増えてきました」と、手応えを感じています。

こうしたICT化に取り組みながら、岩手県公認の「ICT活用工事」である河道掘削工事も経験。起工測量から設計、施工管理、データ納品に至るまで全面的にICTを活用し、現場監督として工事の指揮をとりました。
「これまでは部分的にICTを導入していたので、フルに活用して完遂したのはこの工事が初めて。書類関係や役所とのやり取りも含め、すべて経験できたのは自信になりましたし、他の工事のアドバイスにも生かせると思います」。

さまざまな経験を積みながら「若手の育成にも力を入れていきたい」と語る奥地さん

2つの部を行き来しながら、ICT化のキーマンとして活躍する奥地さん。どちらにも共通するのは、自分の裁量で仕事を組み立てていくおもしろさ。優先順位を考えながら、ゴールまでの最短距離を見定め、「効率よくできる方法を見つけ出していくのが楽しい」と、奥地さんはいいます。

幼い頃に憧れた父のように、自身の手で新たな仕事を切り拓く奥地さんが次に見据えるのは、自分のバトンをつないでくれる人材の育成。ICT化を共に進めてくれる若手を育てることで、また新たなフィールドへ進もうとしています。

(取材時期:2025年9月)

刈屋建設に興味を持った学生さんにメッセージ!

建設業は皆さんが想像するよりもたくさんの業務があり、あなたの特技を活かせる場も無限にあります。弊社は宮古市の内陸部に位置しているので、盛岡市中心部から車で1時間ちょっとで着き、通勤圏内。ぜひ「挑戦できる環境」である刈屋建設で働いてみませんか。

■刈屋建設株式会社
1951年設立。宮古地域の道路、林道、治山、河川などの土木工事を幅広く手がけるとともに、国や県の道路維持を担いながら災害時や日常の地域の暮らしを守っています。また、ドローン・3Dレーザースキャナを使用し、自社によるICT施工などの新技術にも積極的にチャレンジしています。

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