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interview

あつまれ!熱血技術者/04

不可能を可能にするために 考えることを諦めない!

ものづくりに魅せられ、自分の仕事に心血を注ぐ技術者たち。彼らは、どんなことにこだわり、どうやって課題をクリアしていくのか?ものづくりの世界で凌ぎを削る、熱き技術者たちに迫るこのコーナー。今回は、釜石市にある株式会社エイワの山崎雅広さんの登場です。

アクセサリーや時計、歯科治療で使用される金属の被せものなどで、アレルギー反応を起こしてしまう人って、結構いますよね。

原因となる金属にはニッケルやクロムなどが挙げられますが、こうしたアレルギーを引き起こさない人の体に優しい金属をご存知ですか?

それは、高付加価値コバルト合金「COBARION®️(以下コバリオン)」。東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が開発し、株式会社エイワでしか製造できない「夢の金属」です。独自の技術によって、金属アレルギーを引き起こすニッケルを極限まで抑え、優れた強度、耐摩耗性、耐食性を兼ね備えているため、整形外科分野の人工関節や歯科分野の補綴物や矯正用ワイヤーなどに適しているといわれています。

岩手大学・岩手県・釜石市・エイワの産学官連携プロジェクトとして、開発された「コバリオン」

この開発が始まったのは、2010年のこと。FRP成形加工事業を主としていたエイワは、新たに金属事業部を立ち上げ、コバリオンの製造に乗り出しました。

その担当者として白羽の矢が立ったのが、現在部長を務める山崎雅広さん(43)。当時は技術も知識も未熟な26歳の若手社員だったにも関わらず、たった一人でプロジェクトを担うことになったのです。

「専門用語を聞いてもちんぷんかんぷんで、右も左もわからない状態でしたから、研究員の方にゼロから教えてもらって。とにかく技術を修得しようと必死でくらい付きましたね」

現在は金属事業部の部長を務める山崎さん。(写真右)後輩の指導も大事な仕事の一つです

試作当初は、トラブルの連続。思った通りの強度が出なかったり、すぐ割れてしまったり、ムラが出たり。納得のいくコバルト合金ができるまで、約2年間、研究員と一緒に試行錯誤の日々が続いたそうです。

「どんなにテクノロジーが進化しても、基本となる材料が良くなければ加工もうまくいきません。問題点を解決するために、あらゆるアプローチを考えて、何度も何度もテストを繰り返して…。品質の安定したコバルト合金を作れるようになるまで、トライ&エラーの連続でした」と、振り返ります。

ものづくりが特別好きなわけでもなく、どちらかといえば不器用。むしろ製品を広めたり、用途を提案したりするほうが性に合っているという山崎さん。苦手なものづくりに向き合う中で得たものは、「自ら動き自ら学ぶ」姿勢であり、結果を出すまで決して諦めず、強い気持ちを保ち続けることでした。

真空溶解炉の中の状態をチェックする社員たち

現在「コバリオン」は、金属アレルギーを起こしにくい特性から、主に歯科材料を始めとした医療分野や時計部品などで使用されているのですが、開発のプロセスで培ったノウハウを違う金属の生産にも活用しているのだとか。

溶解・鍛造・圧延の機械をすべて兼ね備え、さまざまな特殊合金を少量から一貫生産できるため、研究開発用の試作品や少量ロット生産の依頼も多いといいます。

「どんな注文にも柔軟に対応できるのがうちの最大の強み。難しい注文であっても、簡単にギブアップせず、どうしたら可能にできるのかを徹底的に考え抜く。やれないではなく、やれる方法を考えろというのが、うちの会社の方針なんで」

溶解・鍛造・圧延の機械を擁する会社は多くないとか。特殊合金を一貫生産できるのがエイワの強み

コスト面で考えると、原料となるコバルト自体が高価なため、コバルト合金を製造する技術があっても、そう簡単に売り上げに結びつくわけではありません。しかし、一つひとつ丁寧に精度を吟味しながらものづくりをするエイワの技術を、信頼してくれる人はたくさんいます。

「材料づくりは10年~20年スパンで長くかかるものだと、専門家の方にいわれたんです。だから今うまくいっていなくても、長い目で見て育てていかないとなりません。もしかしたら5年後には、コバルト合金が日本の戦略資材になる可能性もあると思っています」と、山崎さん。

「金属事業部を会社の柱として育てていきたい」と語る山崎さん

“夢の金属”といわれたコバルト合金「コバリオン」の可能性は、まだまだ未知数。将来的にはマーケットを海外に広げ、世界中に売り出していく夢を抱いている山崎さん。「どんなことでも、諦めたらそこで終わりですから」と、会社の未来を見据えています。

(取材時期:2023年12月)

エイワに興味を持った学生さんにメッセージ!

エイワの強みは、多角経営のメリットを生かし、新たな「ものづくり」に挑戦できること!ワクワクするようなストーリーを一緒に創って行きませんか? これから10年、エイワの新たな挑戦が始まります。

株式会社エイワ 阿部 浩

■株式会社エイワ
昭和53年の創業以来、ボートや水産施設などの造形素材として用いられるFRP成形事業や、防水・建築工事を主として事業展開を行ってきましたが、平成22年からは、特殊金属の溶解、鍛造、圧延事業を中心とする金属事業分野をスタート。これは産学官で開発した高付加価値のコバルト合金「COBARIONⓇ」を製造する事業で、同時にコバルト合金の開発で培った加工技術を応用し、各種特殊合金の小ロット生産や研究開発の試作などにも対応しています。

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