interview
2025/9/30 掲載
ススム働き方改革/15

盛岡市に本社を置き、企業ブランディングから空間設計、建設プロジェクトのサポートを手がける、ジュークアンリミテッド株式会社。企業の理念や魅力を言語化・ビジュアル化するところからはじまり、働く人の目線に立った空間づくりの設計、さらには工場やオフィスの建設プロジェクト全体を俯瞰したサポートまで、一貫して行うベンチャー企業です。
そんなジュークアンリミテッドでは、働く時間も場所も、社員自身が決めるスタイルを追求しています。クリエイティブが加速する働き方が評価され、「いわて働き方改革AWARD2024」で優秀賞を受賞しています。ワークとライフがミックスされた、さまざまな取り組みについてお聞きしました。
自分のペースで働ける
「裁量労働制」
ジュークアンリミテッドでは、2018年の創業当初から「裁量労働制」を導入しています。対象となるのは、設計やグラフィックデザインなどのクリエイティブ職。出社時間や働く場所にとらわれず、社員が自分の裁量で働ける“フリータイムワーク”というスタイルが、社内に定着しています。
「人によって集中できる時間帯も、生活スタイルも異なります。だったら、働き方もそれぞれに合わせていけたらいいんじゃないかなと思ったんです」と話すのは、代表取締役社長の加藤瑞紀さん。
例えば、電話やメールが減る夕方以降から集中モードに入り、夜までやったら翌日は少しゆっくり出社するのもよし。また、子育て中の社員は、子どもの生活リズムに合わせて在宅勤務し、夕方は家族との時間を優先するなど、仕事とプライベートのバランスを柔軟に取っています。
一方で、全国でプロジェクトがあるため出張が多く、社員同士が顔を合わせる機会は限られています。それでも、週に一度のブリーフィング(軽いミーティング)で各自の動きを共有し、クラウド上のグループウェアでスケジュールを見える化することで、チームとしての連携がしっかりと保たれています。
「裁量労働制は、労働時間の管理が難しいとよく言われますが、うちの会社は社員が10名未満と少人数なので、一人ひとりの顔が見えやすく、お互いの状況を把握しやすいというメリットがあります。働く時間も場所も自分で決めるため、社員の自主性や自己管理能力、仕事への責任感も育まれていると思います」


自分のペースで働けるだけではなく、「仕事に向き合う姿勢」も磨かれるのですね!
集中して働き、しっかり休む
「週休3日制」の実践
ジュークアンリミテッドが週休3日制を導入したのは、コロナ禍がきっかけでした。当時は、働き方を見直す機運が高まっており、社会的な流れや助成金制度の後押し、そもそも裁量労働制を取り入れていたこともあって、週休3日制を試してみることにしたのだといいます。
とはいえ、単に休みを増やしたわけではありません。
「クリエイティブな仕事は、時間をかければ良いものができるとは限らないと思っていて。与えられた時間の中で集中して働き、しっかりと休む。その方がいいアイデアが生まれることもあるんです」
そうした考え方のもと、週3日ある休日を「休養・教養・発信」の時間として過ごすスタイルが、社内に自然と根付いています。休みの日に本を読んだり、社内報のコラムを執筆する時間に充てたりと、インプットとアウトプットの機会を確保することで、成長や気づきにつながっているのだといいます。
「もちろん、仕事の状況によっては、働く時間や休みの日を調整する柔軟さは必要です。その上で、それぞれが『どう働くのがベストか』を自分で考え、工夫しながら実践していく姿勢が育ってほしいです」と加藤さんは話します。


休むだけじゃなく、“育つ時間”として活かす発想が素敵です!
出張ついでに寄り道
仕事×余白=ブレジャー
全国各地のクライアントを訪ねる機会が多いジュークアンリミテッドでは、移動や出張の合間に“少しだけ足をのばす”時間も大切にしています。
その名も「ブレジャー」。ビジネスとレジャーをかけ合わせた造語で、出張などの機会を利用して余暇を楽しみ、仕事のついでにインプットの機会をつくるというものです。
「岩手からの出張は、どうしてもコストも時間もかかります。そこで、出張中に複数の用事をまとめたり、空いた時間を有意義に使おうという考え方から、制度として取り入れました。気になっていた展示や空間デザインを見学したり、その土地の文化に触れたりすることで、アイデアの引き出しが広がっていく感覚があります」と加藤さん。
訪れた場所で得た刺激や発見は、社内報やブリーフィングで共有されたり、社内のクラウド内に保存されたりと、チームの共有財産にもなっています。ブレジャーは、ただの寄り道ではなく、感性と発想力を磨く仕事の一部として、社内に定着しています。

旅の起点までの交通費や宿泊費は会社負担なので、プライベートで旅行するよりもお得ですね!

企業の信念である「軸」をクライアントとともに考え、整理し、企業の魅力の“見える化”を行うジュークアンリミテッド。アドバイスする立場だからこそ「まずは自分たちでやってみる」というスタンスを大切に、さまざまな制度や仕組みにトライしています。うまくいったことも、そうでなかったことも、実際の経験をもとに、クライアントにもリアルな提案ができています。
加藤さんは、最後にこう話します。
「会社としてさまざまな成長の機会を用意しているものの、結局は本人が『成長したい』と思えるかどうかが一番大事だと考えています。だからこそ、やればやった分だけ還元されるようなスタイルをとっているんです。それぞれの得意な面を磨きながら、プロフェッショナルとして成長できて、働きやすさも感じられる組織を目指していきたいです」
決まった型に合わせるのではなく、自分たちに合う形を模索しながら、少しずつ育てていく。
一人ひとりが前向きにしなやかに、自分の成長と向き合える職場だと思いました。
(取材時期:2025年6月)
ジュークアンリミテッドに興味を持った学生さんにメッセージ!
裁量労働制はその名の通り、仕事において裁量がある状態じゃないと適応されません。クリエイティブな働き方はキラキラ見える一方、水面下では弛まぬ努力が必要。社会人としての軸+裁量を身に付けたい方、旅好きな方もおすすめです。

■ジュークアンリミテッド株式会社
2018年創業。盛岡市に本社を置き、ブランディングデザイン・設計・建設サポートの3つの事業領域で「人が集まる会社づくり」をワンストップで行う会社です。クライアントの思いに寄り添い、プロジェクトを目的地に導くドライバー役として、全国・海外においてブランディングと設計プロジェクトを進行中。企業の可能性は無限大=アンリミテッドであると信じ、ブレない企業の「軸(19=ジク)」づくりを心がけています。
▶企業URL
https://19unltd.co.jp