interview
2025/7/24 掲載
わたし○○な新人です!/12

初めての社会人生活はドキドキとワクワクの連続!いろんな業界で奮闘するピカピカの新人さんたちをご紹介します!今回ご登場するのは、株式会社東海新報社に入社して2年目の、栗村 勇翼(くりむら・ゆうと)さん(24)。地元で働く若手記者のリアルな日常と、そこにあるやりがい、そして仕事を楽しむヒントをお聞きしました。
大船渡市に拠点を置き、地域紙を発行している、東海新報社。大船渡市・陸前高田市・住田町のニュースを中心に、まちの出来事を丁寧に取材・発信しています。大きなニュースだけでなく、学校行事や地域の話題など、暮らしに寄り添う記事が特徴です。
また、東海新報社では、記者が取材・執筆を行い、自社で印刷を手がけています。東日本大震災のときも、停電のなかで新聞を出し続けて、地域の人に情報を届けました。「まちの今」をリアルに伝えてくれる、頼れる新聞社です。
今回お話を伺ったのは、2024年に入社し、記者として働く栗村さん。ネタを集めて、取材に行って、新聞発行に間に合わせるために急いで記事を書く…と、どこかハードなイメージのある新聞記者ですが、どんなお仕事をされているのでしょうか。

栗村さん、こんにちは!大船渡市出身とのことですが、新聞記者になろうと思ったきっかけは?

正直、「これがやりたい!」と強く思っていたわけではないのですが、昔から文章を書くことが、嫌いではなかったんです。好きってほどでもないんですけど、なんとなく集中できたというか。もともと読書は好きでしたし、小説や物語を考えるのって面白そうだな…という漠然とした興味はありました。
高校卒業後は、東北芸術工科大学の文芸学科に進み、小説の書き方や、ストーリーの構成を学びました。面白い話って、才能とかひらめきで書くものだと思ってたんですけど、実はちゃんと“型”があるんだと知って。そこからちょっとずつ、書くこと自体が楽しくなっていきました。

その後、記者という仕事にどうつながっていったんでしょうか?

地元で働きたいという気持ちがあったので、文章を使って、地元に関われる仕事ってなんだろう?と考えた結果、東海新報社にたどり着きました。昔から地元で信頼されている新聞社だったので、ここなら間違いないだろうなって思ったんです。
ただ、人と話すのが得意な方ではなかったので、取材がうまくできるか不安ではあったのですが、「やってみたらなんとかなるかもな」と思い、記者の仕事にチャレンジしてみることにしました。


入社してからは、どのように仕事を覚えていったんですか?

最初の2週間くらいは、過去のイベントの内容をもとに記事を書く練習から始まり、基本的な構成や書き方を身に付けました。
その後は、先輩の取材に同行して、どんなふうに話を聞いているのか、どこをメモしているのかを見て学びました。翌日にはその取材が記事になって紙面に載るので、「こうやって記事になるんだな」と実感できたのを覚えています。
実際に一人で取材に行くようになったのは、入社して1カ月くらい経ってからですね。最初は、花の見どころを紹介する記事など、人とあまり話さずに書ける内容からスタートしました。そこから、学校や地域の行事など、少しずつ担当する取材の幅が広がっていきました。

普段は、どんなスケジュールでお仕事されていますか?

午前中に取材へ行くことが多いです。午後はその取材内容を記事にまとめて、夕方までに編集部に提出する、という流れですね。定時が18時なので、それまでに紙面を完成させるように動いています。
取材が複数入っている日は、特にバタバタです。出先でそのまま記事を書くこともありますし、事前に情報をまとめておいて、テンプレートのような形で下書きを作っておくことも多いです。スピードと正確さのバランスが大事なので、効率よく記事を仕上げる工夫は常に意識しています。

忙しい中で、どうやって気持ちを切らさずに働いているんですか?

自分の中では、「ゲーム感覚」で考えるようにしています。例えば、今日は3件取材があるとしたら、それぞれをクエストとして考えて、この時間に行って、何を質問して、どうやってまとめようか…とシミュレーションしていく感じです。ちょっとしたタイムアタックみたいで、うまくスケジュール通りに終わると、「今日、全部クリアできた!」という達成感があります。


これまでの取材で、特に印象に残っている出来事はありますか?

大船渡市の小学校で、長年にわたって運動会の音響係を担当してきた町民の方がいて、「今年で引退することになったので、記事にどうですか?」と学校の先生から声をかけてもらったことがあったんです。当日、その方にお話を伺い、これまでの活動のことも取材させていただきました。しばらくして、ご本人から電話がかかってきて、「立派に書いてくれてありがとう」と言ってくださって!あの時は本当にうれしかったですね。

地域との距離が近いからこそ、そういう声が届くんですね。

そうですね。街を歩いていると「この前の記事読んだよ」と声をかけていただくこともあり、励みになります。リアルな反応があることは、この仕事の良さだと思います。
取材って、ただ話を聞くだけではなく、その場の空気感や人との距離感が、すごく大事だなと思っていて。取材する立場として距離を置くよりも、自分もその場の空気に溶け込んで、一緒に楽しむ。そうすることで、書くことがより増える気がしています。


最後に、今後の目標を教えてください。

少しずつですが、自分の「個」を出していきたいと思っています。「東海新報社の記者」という看板に頼りすぎず、「栗村さんだから話せるんだよね」と思ってもらえるような存在になりたいです。
それと、まだまだ先輩たちから情報をもらって取材に行くことが多いので、今後は自分からネタを見つけて、動けるようになりたいと思っています。普段の何気ない会話や、街のちょっとした変化など、自分にしか気付けないこととか、自分なりの視点を持って取材できたら、もっと面白い記事が書けるんじゃないかなと思っています。
栗村さんは、「楽しみ上手」な新人さんでした!
記者として日々地域を駆け回る中で、ゲーム感覚で仕事をこなしたり、その場の空気に溶け込んだりと、「どう楽しむか」を心がけている栗村さん。「人と話すのが苦手だったけど、案外なんとかなるもんです」と笑顔で話す姿も印象的でした。地域で信頼される記者を目指して、栗村さんは今日も一つひとつの取材に向き合っています。
(取材時期:2025年6月)
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東海新報社は、岩手の気仙地域(大船渡市、陸前高田市、住田町)をエリアとする新聞社です。地元紙として、地域に根ざした姿勢を大切にしています。紙面を通じて「気仙」の魅力を伝え、郷土の発展に貢献していきます。

■株式会社東海新報社
1958年創業。大船渡市・陸前高田市・住田町を主な取材・配布エリアとし、地元密着のきめ細かな情報発信を続ける新聞社です。自社グループで編集・印刷・輪転・配達まで一貫して行う、全国的にも珍しいスタイルを取り入れています。「地域密着・独立自主・技術革新」を3本柱に掲げ、情報弱者になりがちな沿岸地域に対し、災害時には命綱となり、日常時には暮らしの情報源として機能する、地域に欠かせない存在を目指しています。
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