みんなの想職活動

interview

2025/6/6 掲載

勝手に業界研究/04

ITテクノロジーで 社会の「困った」を解決!

メーカー、流通・小売、金融など、いろんな業界があるけれど、岩手の業界事情って実際どうなってるの? そんな疑問にお答えして、編集部が独自にリサーチする「勝手に業界研究!」。今回は「IT業界」をフィーチャーします!

アニメサークルに入っているんですけど、この間AIの自動着色ツールを使って自作のイラストを作ったら、めちゃくちゃ便利で。あっという間にできちゃいました!

さすがに学生さんは、新しいものを使いこなすのが早い! AIやIoT(Internet of Things)など、私たちの暮らしにはすっかりITテクノロジーが浸透してるよね。

大学の先輩もIT業界に就職する人が結構いるんです。でも、ひとくちに IT業界といってもすごく幅広いですよね。具体的にどんな仕事があるんでしょう?

大きく分けると、5つの業界があるよ。
①は、I Tの基盤となるスマートフォンやパソコンなどのモノを作る、「ハードウェア業界」
②は、ITの中身、アプリやソフトを作る「ソフトウェア業界」
③は、ITを利用して、検索サイトやネットショッピングなどのサービスを提供する、「インターネット・Web業界」
④は、インターネットを利用できる環境を整備する「通信業界」
⑤は、ITで企業や社会を支える「情報処理サービス(SI)業界」
これは、自治体や金融機関などが運営する大規模なシステムから企業の業務系システムまで、さまざまな情報システムの企画・開発・運用・設計などを行う業界だね。

IT人材は将来的にかなり不足すると予測されており、大学などで基礎技術を身につけることが大事

なるほど~、結構いろんな業界に分かれているんだ! 職種もプログラマーとかWebデザイナーぐらいしか知らなかったけど、サーバーエンジニアとかITコンサルタントとか、業務によっていろいろあるんですね。

一応、5つの業界に分かれてはいるけど、1つの企業が複数の業界の業務を扱っていることも多いんだ。例えば、パソコンなどの「ハードウェア」を製造している企業が、同時に内部の「ソフトウェア」を開発していることって、よくあるでしょ? どの企業がどんな業務を行っているのか、しっかりチェックすることが大事だよ。

確かに、eコマース企業が通信事業に参入した例もあったし、現状だけでなく将来的な動きもチェックしておかなきゃですね。
全体のことは何となくわかったんですが、岩手のIT業界はどんな感じなんですか?

滝沢市には首都圏のIT企業などが集積。入所オフィスとして滝沢市IPU第1・第2イノベーションセンター(写真)があります

岩手は全国的にも早い段階から、積極的にIT企業の誘致に取り組んできたんだって。エリアでいえば、多くの誘致企業や地場企業のオフィスがある盛岡地域交流センター(マリオス)や滝沢市IPUイノベーションパーク、大学や支援機関が集まる県央広域エリアが中心だね。他にも、大手企業のサテライト拠点やテレワーク拠点がある県南広域エリアなどに、多くのIT企業が集まっているんだって。

IT産業を支援するいわて産業振興センター

そうなんですね~。誘致企業も多いとなると、仕事自体も本社とのやり取りがメインになるんですかね?

確かに首都圏の企業との取引が中心の会社が多いけど、自社独自の製品・サービスを開発している会社もあって、それを強みに全国展開をしているところや、海外に拠点を持っている会社もあるよ。
それに誘致企業のなかには、世界規模で使用される機器のソフトウェアを開発している会社もあるから、大きな仕事に携わるチャンスもあるみたいだよ。

なるほど~。岩手にいながら世界を相手に仕事ができるのも、IT業界で働くメリットですよね。

そもそもIT産業は、最新のテクノロジーを活用して、社会や企業の課題を解決したり、製品やサービスに新たな付加価値を生み出すもの。
特に岩手の場合は、自動車・半導体関連産業、医療機器関連産業など、ものづくりが盛んな地域。また、農林水産業も盛んで、これらの産業とデジタル・IT技術が結びつくことで、多くのメリットが生まれるよね。

例えば農業でいうと、ロボットによる自動収穫とか、ドローンを使った農薬散布とか、人手のかかる作業を効率化できますね。

ドローンによって農薬散布を行うなど、さまざまな場面でITの活用が進んでいます

そうそう、「スマート農業」と呼ばれる取り組みだね。ものづくりや農林水産業だけではなく、建設業・インフラ分野、保健福祉分野、地域医療分野、防災分野など、さまざまな地域課題の解決にもITを役立てることができるんだよ。
そう考えると、岩手は新たなシステムやサービスを生み出すヒントがたくさん隠れている場所かもしれないね。

そっか、まだまだ未開拓なところがたくさんあるっていうわけか!

岩手県立大学ソフトウェア情報学部は、IT人材を輩出する重要な教育機関

県内にはIT人材の教育機関として、岩手大学理工学部や岩手県立大学ソフトウェア情報学部、一関工業高等専門学校などがあるんだけど、在学中の学生や大学院生、卒業生が起業するケースも増えているんだって。

え~、すごいなあ! やっぱり学生時代から研究していることが起業につながっているんですかね。

そういうケースが多いみたいだけど、なかには大学をちょっと休学して企業で実践的に学んだという人もいたよ。
岩手では、2020年に「岩手イノベーションベース」という起業家支援拠点を立ち上げて、先輩起業家から学びながら、若い起業家同士が交流し、切磋琢磨できる場をつくっているそうだよ。

岩手の起業家を支援する「岩手イノベーションベース」は、若い起業家が学び合い、成長できる場を設けています

高い志を持った仲間がいると、いい刺激になりそうですね~。思っていた以上に支援環境が整っていることに驚きました!

技術さえあれば、どこにいても闘えるのがIT技術者の強み。IT企業に就職して、新たなアイデアで製品やサービスを開発するのもありだし、自分で起業して独自の道を進んでいくのもあり。
いずれにしろ、企業や地域、社会の「困った」を解決することが一番大事。そこから新たなテクノロジーも生まれてくるはず!

そうですよね、どこで働くかよりも、何を成し遂げるか、ですよね。岩手や世界がもっとより良くなるように、自分も頑張らなきゃ。