みんなの想職活動

interview

2025/3/14 掲載

勝手に業界研究/03

岩手を「伝える」ことで 多くの人を動かしていく

メーカー、流通・小売、金融など、いろんな業界があるけれど、岩手の業界事情って実際どうなってるの? そんな疑問にお答えして、編集部が独自にリサーチする「勝手に業界研究!」。今回は「マスコミ業界」をフィーチャーします!

この間、学生だけでやっているボランティア活動を新聞に掲載してもらったんです。初めての取材でめっちゃ緊張したんですけど、「伝える仕事」ってなんだか面白そう。地方のマスコミ業界って、どんな感じなんですか?

マスコミといっても、実はいろんな業界があるんだよね。まずは新聞業界、テレビやラジオなどの放送業界、書籍や雑誌を手がける出版業界、メディアと広告主をつなぐ広告業界。共通しているのは、メディアを通じて多くの人にさまざまな情報を届けていることかな。

結構、いろんな業界があるんですね~。例えば新聞業界ですけど、岩手にはどれくらいの新聞があるんですか?

新聞には全国紙と地方紙があって、全国紙の場合は各都道府県に支局を置いて、地方版の中で地方のニュースを掲載しているんだ。

一方、地方紙は岩手に本社を置いて、それぞれの地域のニュースを発信している新聞のこと。日刊紙では岩手日報、岩手日日、胆江日日、東海新報。専門紙では岩手建設工業新聞などがあるよ。

「岩手日報」をはじめとしたさまざまな地方紙があるほか、全国紙の地方版でも岩手のニュースが発信されている

新聞社といえば記者のイメージが強いけど、それ以外にどんな仕事があるんですか?

記者の他にも新聞広告を営業したりイベントを運営したりする仕事や、紙面をレイアウトするデザイナー、デジタル版を発行・配信するITエンジニア、印刷を担当するオペレーターなど、いろんな仕事があるよ。

テレビ局やラジオ局も、全国に番組を配信する「キー局」と、各地域の情報を扱う「地方局」に分かれていて、アナウンサー、報道記者、番組制作のディレクター、営業、ITなど、放送局によってもさまざまだから、しっかりリサーチしてみるといいよ。

なるほど~、放送局に就職した先輩にも話を聞いてみようかな。出版業界も気になるんですけど、岩手にも出版社ってあるんですか?

川口印刷工業株式会社(盛岡市)が制作・発行している『rakra』。他にも多様なジャンルの情報誌が県内で発行されている

大小さまざまな出版社があるよ。コンビニでも目にするものだと、北東北の魅力を発信する『rakra(ラクラ)』とか、盛岡タウン情報誌の『月刊アキュート』とか、スポーツ誌の『スタンダード』とか。

岩手の場合、独自で雑誌やムック本を出版しているのは印刷会社や新聞社が多いかな。もちろん小さい出版社もいくつかあるけど、出版物の場合は本を作るだけじゃなく、広く流通させる力が必要なんだ。

となると、流通力や発信力のある印刷会社や新聞社が手がけるケースが多いってわけ。

そっか、本を買ってもらうためには流通させることが大事なんですね。出版業界の職種についても教えてください。

本の制作には、企画をする編集者を中心に、外部ライターやカメラマンなどが携わることが多い。他にも広告の営業や本を宣伝する販促の仕事、最近では電子書籍も増えているから、デジタル化に携わる仕事もあるね。

新聞や放送、出版にも広告があるわけですけど、広告業界はどうなんですか? 地方は広告も少ないように思うんですけど。

広告っていうと、新聞・雑誌広告やテレビコマーシャルがよく知られているけれど、最近はインターネット広告が急増しているんだ。より広く届ける大衆向けのマス媒体広告から、消費者の行動に合わせて配信できる動画広告やネット広告にシフトしているんだよ。

ああ、Youtubeとかドラマ配信の途中に流れてくる広告ですね。

YoutubeやTverなどの動画配信サービスは、年齢・性別・地域をターゲティングして広告が出せると人気だ

そうそう。地方は、全国的に展開する広告は少ないかもしれないけど、今はいろんな届け方がある。だから、地方発信の広告も工夫次第で多くの人に見てもらえる可能性が広がっているともいえるね。

そうなんだ~。背景の変化はなんとなくわかりましたけど、仕事としてはどうなんですか?

地方の場合、ビジネスの中心になるのは、広告代理店だね。代理店は、クライアントから依頼を受けて効果的な宣伝の仕方を考えるわけだけど、消費者の動向を探る市場調査や広告の企画、プロモーション戦略、各メディアとの交渉などを行うんだ。

岩手県が首都圏向けに制作した、岩手の魅力を発信するポスター。行政の場合は「広報」という位置づけだが、広告代理店と協力して情報発信を行う場合もある

例えば、新商品のお菓子を売りたいメーカーがいるとするよね。広告代理店は、広告予算やターゲットを設定して、市場ニーズなどのさまざまな観点から、どうすれば新商品が売れるかを考えるんだ。

そうした広告をつくる仕事も広告代理店が担っているんですか?

それは、広告制作会社が担当することが多いね。コピーライターやデザイナー、webデザイナー、CMプランナー、映像ディレクターなど、いろんな仕事があるよ。

岩手の場合は、こうした専門技術を持っている人はフリーランスで活動している人が多くて、広告制作会社と組んで仕事をしているケースが多いね。

う~ん、専門技術を身につけるまでが大変そう(苦笑)。でも、憧れていたマスコミ業界にも、自分に合った仕事があるかもしれないな。

どんな仕事であろうとも、マスコミの本質は「伝えること」。商品やサービス、誰かの想いを魅力的に伝えることで、それを受け取った多くの人にいい影響を与えられたら嬉しいことだよね。