みんなの想職活動

interview

2024/12/16 掲載

岩手で仕事はじめました/10

山のことなら俺にまかせろ!林業を愛する男の挑戦

岩手出身でUターンした人、県外からIターン・Jターンした人など、岩手で働き始めた社員さんをご紹介! 今回は、小友木材店遠野工場で働く早川芳大(はやかわ・よしひろ)さんが登場。林業に携わるおもしろさや、遠野暮らしの魅力をお聞きしました。

こんにちは! 早川さんは東京で働いていたとお聞きしましたが、岩手に移住したきっかけは?

大学を卒業後、仙台にある家具メーカーの営業職に就きました。その後、東京へ転勤になり5年程働いていたのですが、多忙だったこともあり都会暮らしに疲れてしまって…。実家のある岩手に戻ることを決めました。

転職先を探していたとき、たまたま電車の中で「森林の仕事ガイダンス」という企業説明会の広告を見つけたんです。学生の頃から、日本百名山のうち60座以上を制覇しているほど登山が大好きなので、自然に関わる仕事に強く惹かれました。そこで小友木材店について調べ、応募したのがきっかけです。

小友木材店のどんなところに魅力を感じたのでしょうか?

I T産業と1次産業を組み合わせて、よりシステマチックで洗練された木材店を目指しているところがおもしろいなと感じたんです。木材を搬出するための機械の開発など先進的な取り組みをしつつ、古き良き林業のやり方を守っているところが理想的だと思いました。

内定後は、「いわて林業アカデミー」に通ったそうですね。

社長の提案で、1年間の研修を受けてから現場に入ることになりました。岩手県林業技術センターが募集しているもので、林業の基礎知識を学び、チェーンソーなど重機の資格を取得することができます。

研修期間は、学生の頃に戻ったみたいですごく楽しかったですよ。同期はみんな年齢もバラバラですが、今でも定期的に集まっています。横のつながりができたことで、情報交換がしやすくなりました。

希望者には就職先の斡旋もしてくれますし、卒業後1年以内に林業に就業するともらえる給付金制度もあるので助かりましたね。

真剣な表情で木の伐倒を行う早川さん。「自分たちの手で切った木が、建材やおもちゃなどへと姿が変わるのを見るとうれしい」と話してくれました

勤務中はそのほとんどを山で過ごすそうですが、どのようなお仕事を担当しているのですか?

チェンソーを使って木を切り倒す「伐倒」がメインです。山での作業は3人一組のチームで行います。まず私が山を登り、伐倒していきます。その木を山の中ほどにいるリーダーが道を作りながら集材し、もう一人の先輩が集めた木を採材して、最後に山の麓まで材を運ぶというのが山現場での一連の流れです。

伐倒した木は、さらにある程度の長さに揃えて切ってから出荷します。小友木材店の特徴は、栗やナラなどの広葉樹のみを取り扱っているところです。広葉樹は紙やトイレットペーパーの原料となるパルプ材や、建材として使われることが多いですね。

高く積み上げられた桜の木。遠野市内の山で一日に50本ほどの木を切り、工場まで運んでくるのだそう

作業のどんなところが難しいと感じていますか?

杉などの針葉樹は縦にスラッと伸びているので比較的切りやすいんですが、広葉樹は「根張り」といって地面の上に根が出ている状態で生えています。まずは木の重心の傾きを見極めて切り倒す必要があるんです。

木の種類によって、切り方のテクニックがいるんですね。

そこがこの仕事のおもしろいところなんです! 木にも一本一本個性がありますから。たとえば桜の木はゴツゴツとしていて、枝が大きく広がっているので切りにくい。いかに早くきれいに切るか、攻略ゲームをやっているような感覚です。ストンと切り倒せると気持ちが良いですよ~。

とはいえ、やっぱり太い木を切るときは気合いが入ります。腐っている幹は中が空洞になっていることもあります。刃の向きをきちんと計算しないと、一発目にチェンソーを入れただけで自分の方に倒れてくる危険性もあるんです。身の安全を確保しつつ、木材のクオリティを保った伐倒には、高い技術力が求められますね。

「一本ずつ攻略しながら木を切っていく感覚がたまらないですね!」と早川さん。この仕事がとても好きなことが伝わってきました

プライベートの時間はどんなふうに過ごしていますか?

実は、この仕事のほかに2つアルバイトを掛け持ちしているんです。地元のスーパーのバックヤードと、遠野醸造が運営するビールレストランでホールを担当しています。

休日もお仕事をしているんですか。すごい体力ですね…!

ありがたいことに残業がないんですが、逆に時間を持て余してしまって。体を動かしていた方がリフレッシュできるんです。社長も、「社外でもたくさん学んで、結果的に林業とつながったビジネスチャンスが生まれるといいですね」と副業に賛成してくれています。

もちろんゆっくり一人の時間を過ごす日もありますよ。温泉に行ったり、産直で旬のおいしいものを見つけたりするのが楽しみです。

なるほど、いわて暮らしをアクティブに楽しんでいるのですね。今住んでいる遠野の印象はどうですか?

ここまで日本の原風景や伝統文化が色濃く残っている土地は、なかなか無いんじゃないかな。一緒に働く先輩が「長野獅子踊り」という伝統芸能に携わっていることがきっかけで、昨年は遠野まつりに踊り手として参加しました。

いつかは古民家を購入して、人が集まる場を開きたいと考えることも。それくらい、ここでの暮らしが気に入っています。

遠野地方に100年以上続く伝統芸能。「これからも自分のペースで地域行事に関わっていきたい」と早川さん

最後に、早川さんの今後の目標を教えてください。

まずは、今取り組んでいる仕事で一人前になることですね。まだまだ習得しなければならない技術が山ほどあります。また、林業や木材業も人手が十分に足りていない状況です。自分より若い世代のみなさんにもこの仕事の魅力を知ってもらい、一緒に盛り上げていく仲間を増やしていきたいです。

(取材時期:2024年9月)

小友木材店に興味を持った学生へメッセージ!

㈱小友木材店は1905年の創業から木材事業を展開しております。
現在の主な事業は「広葉樹の丸太の製造、販売」「CNCルーターを活用した木材商品開発、空間施工」「体験型木育施設 花巻おもちゃ美術館の運営」です。

■株式会社小友木材店 
1905年創業。岩手県花巻市に本社を置き、木材素材生産事業・不動産賃貸事業・郵便事業を行っています。世界で一番、「カッコイイ」木材店をコンセプトに、最新技術を駆使した木材加工や電動小型搬出機の開発に取り組んでいます。また、岩手県内の施設の家具や、花巻おもちゃ美術館の木製おもちゃを手がけるなど、地域に根ざした事業を展開しています。

■シゴトバクラシバIWATE
https://www.shigotoba-iwate.com/kyujin/company/94000010052390

■いわて林業アカデミー
https://www2.pref.iwate.jp/~hp1017/academy/R5%20pamphlet/IFA2023Pamphlet.pdf