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interview

2024/6/28 掲載

あつまれ!熱血技術者/05

エンジニアの発想がおいしいトマト作りの秘訣!?

ものづくりに魅せられ、製品開発に心血を注ぐ技術者たち。彼らは、どんなことにこだわり、どうやって驚くようなアイディアを生み出すのか?日進月歩の世界で凌ぎを削る、熱き技術者たちに迫るこのコーナー。今回は、株式会社いわて若江農園代表・若江俊英さん(51)の登場です。

盛岡市でトマトの生産販売をしているいわて若江農園は、大手自動車製造メーカーのエンジニアから専業農家へ転身した若江俊英さんが立ち上げた農業生産法人です。

「自動車メーカーのエンジニアというと、車の設計をイメージする人が多いと思うのですが、私は車を製造するための生産ラインの設計をする仕事をしていました。車からトマトに作るものは変わりましたが、良い品質のものを良い環境で効率的に作るための着眼点はまったく共通です。例えば車のドアの形を成形する鉄板が、トマトで言えば水や光や種や苗といった原材料に当たるわけです」と若江さん。

前職でもやりがいを感じていましたが、「より小さな組織で、自然に近い場所で仕事をしたいと」いう想いから独立。農家での研修を経て、2009年に出身地の盛岡で起業しました。

県内のスーパーなどで販売しているいわて若江農園のトマト

独立の際にはトマト農家になることを決めていたという若江さん。実は農業に興味を持ち始めてから退職までは約7年の期間があり、その間に本を読んだり、グリーンツーリズムのイベントに参加するなどして、「何を作るか」ということを調べていたそう。

その中で興味をもったのが、育て方の工夫によって、ひとつの苗から複数の果実を育成できる果菜類(かさいるい)。

「こんな育て方をしたら果実が10個取れるかもしれない、別の工夫をしたら20個取れるかもしれない、手をかければかけるだけいっぱい取れる可能性のあるものにおもしろさを感じました。キュウリやピーマンもそれに該当するのですが、トマトと決めたのは、多くの作物の葉は緑なので、赤い実がたくさん成っている方がワクワクするかなって(笑) 

どんな作物なら儲かるかという経済合理性よりも、自分がおもしろく、楽しく取り組める作物ってなんだろうというところから決めました」。

作業品質を上げるため、作業者のマニュアルや葉っぱのとり方などの手順書を作っているというのも、エンジニア出身の若江さんらしいアイデアです

良い品質のトマトを良い環境で効率的に育てるために、若江さんが取り組んでいるのが週1回のトマトの健康診断。茎の長さや太さ、葉の枚数や大きさ、実の数などをコンピュータに記録し、前週との比較で、生育環境の温度や湿度、光などを調整しています。これにより、岩手県では稀な、冬季も含めたトマトの長期栽培に成功し、収穫量増に成功しました。

毎週木曜日にトマトの健康診断を行っています

「育成環境を調整することで、できないものができるようになったり、良くなかったものが良くなるということは、技術者冥利に尽きます。いい機械を買ってきて成果が出るだけではつまらなくて、悩んでうまく使いこなせた結果、いいパフォーマンスが生まれるというのがおもしろい。トマトで言うと、人の知見と機械を生かして、いかにトマトがスクスク育つように管理するかということですね」。

計測したデータはコンピュータで管理しています

いわて若江農園の主力商品は、普段使いで使える価格帯の良質な生食トマト。技術職の発想で、おいしいトマトを長期間、岩手の食卓へ届けてくれています。

いわて若江農園に興味をもった学生さんにメッセージ!

農業とか工業といった分野の括りで進路を考えるのはもったいないなと思います。農学部の出身でなくても自然が好きなエンジニアにとっては楽しい分野だと思います。農業には、他業種からの参入や、若い学生の考え方を発揮する余地がいっぱいあります。農業業界をより良くするためにこれからも尽力していきたいと思っています。

■株式会社いわて若江農園
大手自動車製造メーカーでエンジニアとして勤務した若江俊英さんが、2009年に独立就農したトマト農園。2016年に農業法人へ移行し、人間の知見と最新機器を融合させた農業を行っています。

▶︎いわて若江農園SNS
https://www.facebook.com/wakaefarm/?locale=ja_JP