みんなの想職活動

interview

2026/2/4 掲載

岩手で仕事はじめました/12

パン作りを通じた人と地域のつながり

岩手出身でUターンした人、県外からIターン・Jターンした人など、岩手で働き始めた人をご紹介!今回は、奥州市で国産小麦と自家培養酵母のパンを製造・販売する「MAISON DE L'AMITIÉ(メゾン・デュ・ラミティエ)」の佐藤睦さん・愛理さんにお話をお聞きしました。

おふたりが岩手でパン屋を始めようと思ったきっかけを教えてください。

小学生の頃から家でパンケーキをよく作っていたんです。家族に食べてもらって喜んでもらえるのが嬉しくて、「料理を作るのって楽しいな」と思ったのが原点でした。

中学や高校に進んでからもその気持ちは変わらず、「料理の仕事がしたい」「自分のお店をつくりたい」と思うようになって。お店をやるなら自分の出身地である奥州市に構えたい、という考えもその頃から持っていましたね。

高校を卒業してからの就職先は仙台や東京だったんですよね。それでも「地元でやる」という気持ちは揺るがなかったんですね。

高校を卒業してからは、東京の製菓学校に入学し、その後は仙台、東京のケーキ屋やパン屋で働いていたんですが、岩手でお店を持ちたいという気持ちはまったく変わらなかったです。理由を言語化すると難しいんですが、住み慣れたまちだからこその安心感とか、人のあたたかさみたいなものが心地いいんだと思います。地域に恩返しをしたい、という考えもありましたね。

私も奥州市が出身で、高校卒業後から上京し、東京で働いていた頃に夫と出会ったんですが、最初はUターンするなんて考えていなかったんです。でも「地元に戻ってお店をやりたい」という話に共感して、奥州市に戻って一緒にお店をひらくことを決めました。

奥州市出身で同い年の睦さんと愛理さん。お店に立つ日々について、愛理さんは「人とのつながりを強く感じられて、お客さんが喜んでいる姿を見られるのが嬉しい」と話します

奥州市でお店を始める前に、東京のパン屋さんで働きながら、奥州市内のスーパーマーケットでPOPUPイベントをやっていたとお聞きしました。

実際にお店を始める前に、奥州市で自分の作ったものを販売する経験をしておいたほうがいいと思って、市内のスーパーマーケットで月に1回程度、お菓子を販売していました。

東京と岩手を夜行バスで往復しながらだったので、とても大変だったんですが、そこでお客さんとのつながりができたり、どんな商品を手にとっていただけるのか反応を直接見ることができたので、やってよかったなと思っています。

日常的に購入してもらえるものを作るなら、お菓子じゃなくて、パンのほうがいいのではないかと考えたのも、このPOPUPイベントがきっかけでしたね。

「パンは発酵と深くつながっているので、作る場所の空気や菌といった、目には見えない存在にまで意識が向くんです。そこがパン作りの面白さだと思っています」と睦さん。自分が興味を強く持てるものと、人から求められているものが重なったところに、パンがあるのだと話します

2024年8月にUターンして、その2ヶ月後にお店をオープンされましたが、実際にお店を始めてみてどうですか?

今、お店には1日約100人の方が訪れてくださっていて、パンは約300個販売しています。平日は市内の人が多くて、週末は盛岡や秋田、仙台のほかに関東からもお客さんが来てくださっていて、本当にありがたいです。

リピートしてくれるお客さんが多いのも特徴だなと思います。まちの空気がちょっとだけ明るくなった気がしていて、そこに少しでも自分たちのお店が影響していたら嬉しいですね。

岩手・奥州市で仕事をする、事業を行うということについてはどう感じていますか?

人口が多い都市は、いいものがたくさんあるので、自分たちで何かを始めても埋もれてしまうと思うんです。そういう意味では、岩手はいい意味で余白がある。

自分たちが際立つことができる可能性と、やりたいことを実践しやすい雰囲気があるので、事業を岩手で始めるというのはすごくいいんじゃないかと思います。

これからやってみたいことを教えてください。

他店とのコラボ企画や作家さんの展示など、日々の営業とは異なる雰囲気のイベントをひらいて、普段地域の中では味わえないような体験ができたり、地域外から人が訪れたりするような機会をもっとつくれるといいなと思っています。また、お店を始めてから1年が経ち、今は2店舗目の開業を見据えた準備も進めています。

いろんな考えがありますが、結局は自分と、自分に関わってくださる方たちが幸せでいてくれたらいいんです。そのためのツールが、今はパンだと思っています。だからこそ、多くの方に喜んでもらえるように、これからもいいパンをつくるための探求を続けていきたいです。

これまでも市内のブルワリーやカフェ、レストランとのコラボイベントを重ねてきた、睦さんと愛理さん。「共感し合えるお店同士のつながりを、さらに広げていく取り組みもしていきたいです」と意気込みます


(取材時期:2025年11月)

MAISON DE L’AMITIÉに興味を持った学生さんにメッセージ!

これから社会人になるにあたって、どんな仕事を選べばいいか迷う時期だと思います。

僕が仕事を選択するときに大切にしていることはこの2つです。

・自分が楽しくやれる事
・誰かに笑顔を与えられる事

自分もまだまだ未熟な社会人ですが、学生とは180度違った生活、考え方が必要になります。

色々な人と関わっていく中で、自分が大切にしたいこと、信念をを持っていることが大事になると思います。

頑張ってください!

■MAISON DE L’AMITIÉ
2025年10月、奥州市水沢に店舗をオープン。「なんだかとてもいいおみせ」をコンセプトに、国産小麦と自家培養酵母を使った自家製パンと、スペシャルティコーヒーを提供しています。

■Instagram
https://www.instagram.com/maison_de_lamitie/