interview
2025/11/21 掲載
わたし○○な新人です!/17
初めての社会人生活はドキドキとワクワクの連続! いろんな業界で奮闘するピカピカの新人さんたちをご紹介します。今回は、岩手県社会福祉事業団が運営する「中山の園」内にある障害者支援施設「つつじ」を訪問。生活支援員として働き始めて半年という田沼歩幹(たぬま・ふみき)さん(23)に、やりがいや今後の目標などをインタビューしました。
岩手県社会福祉事業団は50年以上にわたり、子どもから高齢者までの発達支援や、生活支援をはじめとした多様な福祉サービスを提供しています。
学生の頃から「人と関わる仕事がしたい」と考えていたという田沼さんは、この春から生活支援員としての一歩を踏み出しました。実際に働いてみて、どんなところにやりがいや難しさを感じているのでしょうか?

田沼さん、こんにちは。まずはこの仕事に就いたきっかけを教えてください。

大学4年生の時に、岩手県社会福祉事業団が運営する「岩手県立療育センター」で実習をする機会がありました。未就学児から18歳までの子どもが入所し、生活支援と医療ケアを行っている施設なのですが、そこで子どもたちと過ごす時間が本当に楽しくて。あっという間の4週間でしたね。
社会福祉事業団に就職したら、この子たちが卒所してもほかの施設で会えるかもしれないと思ったんです。自分には人と関わる仕事が向いているなと実感できた実習期間でした。


実習体験がきっかけになり今の仕事を選んだのですね。

中高一貫校に通っていたのですが、そこで6年間所属していた山岳部での時間も自分に大きな影響を与えていると思っています。
山岳競技は4人1組のチーム戦。天気図を書く人、荷物を多く持つ人など役割分担がカギなんです。仲間と作戦を立てて挑む山岳競技は、チームワークが重要な今の仕事とも重なるところがありますね。


ふだんは生活支援員としてどんな仕事を担当していますか?

職員で分担しながら、食事の配膳や見守り、ひげ剃りや入浴介助など身の回りの支援すべてを行っています。勤務は早番や遅番、夜勤などの変則勤務なので、引き継ぎが重要です。
日中は絵を描いたり音楽を聴いたりといった、利用者さんそれぞれの個別支援計画に基づいた活動を支援します。運動機能を維持するために散歩に出ることもありますが、飛び出しなどリスクを伴う場合もあるので特に気を引き締めていますね。
夜勤では、日勤の職員が記録した排便回数や食事量などをチェックして、表にまとめる事務作業もしています。

利用者さんとのコミュニケーションでは、難しさを感じることも多いのでは?

たとえばモノを投げたりとか、やってはいけない行為について、利用者さんを注意しなければならない場面があるんですけど…自分は注意が苦手で。先輩がワントーン下げた声で、あえて注意する雰囲気を作って接している姿は勉強になりますね。
障がいの有る無しに関わらず、人間同士って相性があると思うんですけど、そのムラをなくして、誰とでも平等に信頼関係を築いていきたいですね。今の目標は、僕が入り口のドアを開けたら利用者みなさんに「田沼さんが来た!」と反応してもらえるようになることです!


どんなときにやりがいを感じますか?

ひと言で障がいがあるといっても、その程度も本当にさまざま。特定のモノや場所に強いこだわりがある方もいます。でも、障がいが重い方でも何か伝えると僕の指をぎゅっと握ってくれたりするんです。そういう時は伝わったんだな、とすごくうれしくなりますね。
当たり前のことですけど、自分がされたら嫌な支援は絶対にしないようにするということは、心に決めているんです。次の活動に移ったり場所を変えたりする際も、必ず「今から〇〇しますよ」と声をかけてから介助するようにしていますね。

着実に信頼関係を築いている様子が伝わります。お話を聞いていて、オン・オフの切り替えが大事なお仕事かなと思ったのですが。

そうですね。僕、楽天イーグルスの大ファンで。試合を観戦している間は自分でもびっくりするくらい熱中してしまうんです。休みの日は、朝はメジャーリーグ、夕方からはプロ野球観戦と、試合時間に合わせて一日を過ごしています。ただ、楽天が負けると精神的な疲労がたまるので、リフレッシュになっているような、いないような…(笑)。

楽天好きが高じて、球場でアルバイトもされたとか?

僕の大学時代はちょうどコロナ禍で、フラストレーションが溜まっていました。そこで思いきって、楽天球場のスタッフに応募したんです。4年間続けて、バイトリーダーも経験しました。お金をもらって大好きな試合観戦もできて、夢のようでしたね。
ただ、大変なことも多くて。僕は外野スタンドの担当だったのですが、ヒートアップした観客席ではさまざまトラブルが起こるんです。その解決に奔走しているうちに、ちょっとやそっとのことでは動じなくなりましたね。臨機応変に対応するスキルは、今の仕事にもつながっていると思います。


山岳部でのチーム戦や、球場でのバイト経験などが今の仕事にしっかり生かされているんですね。最後に、今後の目標を教えてください。

入職して半年が経って、ある程度利用者さんの個々の特性が掴めてきたと思っています。たとえば、「イヤだ~!」というジェスチャーをしていても本当はうれしいんだな、とか、この行動は甘えているだけなんだな、とか。
ただ一方で、「この人はこういう人だ」と決めつけてしまう職員にはなりたくないなと思っています。ふだんと違う行動が体調不良のサインになることもあるので、注意深い観察が必要です。長く勤めている先輩や、障がい者支援の施設以外でも勤務経験のある先輩の知見を聞きながら接していきたいですね。
岩手県社会福祉事業団では転勤があります。今後、どの施設に行っても利用者にも職員にも頼りにされるオールラウンダーになれればいいなと思っています。
田沼さんは、「自己分析がしっかりしている」新人さんでした!
迷いながらも、一つひとつ丁寧にインタビューに答えてくれた田沼さん。冷静な眼で自分自身や利用者のみなさんと向き合う田沼さんは、どの施設でも欠かせない、頼れる存在になっていくのではないでしょうか。
(取材時期:2025年9月)
岩手県社会福祉事業団に興味を持った学生さんにメッセージ!
岩手県内各所で様々な社会福祉施設を経営し、利用者様の「あったらいいな!」のオモイを「いいね!」のカタチにする福祉サービスを提供しています。職員は財産です!職員一人ひとりが力を発揮できるよう、育成制度や様々な研修を取り入れています。

■岩手県社会福祉事業団
1971年(昭和46年)設立。50年以上にわたり、岩手県内各所の社会福祉施設の経営を中心に、児童から高齢者までの多様な福祉分野の事業を行っています。職員は、利用者の生活支援や事務及び相談支援等、様々な業務を経験することで、広い視野を持ち、働きながら専門性を高めることができます。
▶︎シゴトバクラシバいわて
https://www.shigotoba-iwate.com/kyujin/company/54000050004130





