みんなの想職活動

interview

2025/9/30 掲載

大学生ホンネトーク/04

岩手の良さを理解するには私たちは若すぎる!

岩手県内の4大学から、就職活動を始めた大学3年の学生たちが集結。出身も学部も違う学生たちに、今どきのシューカツ事情を本音で語ってもらいました。第4回のテーマは、「岩手について」。岩手で学生生活を送る彼らにとって、岩手はどんな場所なんでしょうか。

なつみ(岩手県立大学ソフトウェア情報学部3年)
山形県山形市出身。ソフトウェアの知識・技術を活かせる就職先を検討中。空に対して憧れが強く、航空業界に興味あり。

しんせい(岩学県立大学総合政策学部3年)
岩手県北上市出身。協調性があって社交的な性格から営業職を志望。若いうちは厳しい世界で自分を成長させたいと考えている。

たくま(岩学大学理工学部3年)
北海道札幌市出身。東南アジアで働きたいと考えており、海外人材を派遣する会社を起業するのが夢。怪しい路地裏が大好き。

ここね(岩学大学人文社会学部3年)
大阪府堺市出身。みんなを幸せにできるエンタメ系かレジャー系の大企業を志望。やりたいことは必ず実現するのがモットー。

たいよう(富士大学経済学部3年)
岩手県矢巾町出身。実家の農業を手伝うために、土日休みの会社や公務員を志望。コツコツ作業することが得意な堅実派。

あや(盛岡大学文学部3年)
岩手県滝沢市出身。教員か民間企業か、どちらの道を選択すべきか悩み中。岩手が大好きで岩手で働きたいと思っている。

足りないものに目がいく…
若者が岩手に求める魅力とは?

だいぶ前から岩手では若者の流出が問題になっていますが、それも含めて岩手についてどう思っていますか?

岩手の人はみんな優しいですけど、優しさのベクトルが関西とは違う。病気になった時も岩手の人は遠慮して家を訪ねたりしないけど、関西の人は「大丈夫?」って家に来て、すごく世話を焼いてくれる。良くも悪くも干渉しないので、ラクだなって思う時もあれば、もっと深く関わりたい自分には物足りないと思う時もあります。

都会の人たちに対して、岩手の人はちょっと引け目を感じてるって、この前ある人からいわれたんです。確かに能力があるはずなのに、自分を出しきれない人が多いように思います。東京や大阪に負けない何かを前面に押し出すとか、自信が持てるものがあると変わるんじゃないかな。

私は山形市出身なんですけど、遊びに行くにしても同じところしかなくて。だから、最初に盛岡に来たときに「山形より栄えてる」って思ったんですよね。県内でいうと、龍泉洞が印象に残っていて。こんなに水が綺麗なところがあるんだと驚きました。

岩手のいいところは、自然が豊かで人が優しいところだと思います。でも、先生に「それはどこの場所でも同じ。他の県に出るともっと岩手のことを知ることができるよ」っていわれて迷っています。岩手が大好きなので、ほんとは出たくないんですけど。

若者が出ていくことはどう思いますか?

岩手に若者がいっぱい残れば集団では幸せになるだろうけど、果たして個人としては幸せなのかなっていうことを考えていて。個人の幸せも追求できて、その結果、集団も幸せやったらいいけど…。

ライブとか演劇とかを楽しめる娯楽が少ないですよね。私は野球観戦が趣味なんですけど、でっかいスタジアムとかがないから、他県に見に行くしかないですし。

北海道だと冬に花火を上げるイベントがあって、結構にぎわう。岩手ならではの祭りとかイベントがもっとたくさんあれば、若者も興味を持ってくれるんじゃないかな。

施設がない、娯楽がないっていうのは、すごくわかるんですけど、むしろ岩手はないことが魅力なんですよね? だけど、なんにもないことを幸せと感じるには、私たちは若すぎると思うんです。もっと大人になったら岩手は良かったねとか、岩手に行きたいねって思うやろうけど。

岩手の良さは若者には刺さりにくい、年齢によって捉え方が違うってことですね。こんな岩手になったらいいなと思うことはありますか?

岩手とか東北って、良くも悪くも広いので、地域が一つになってみんなで盛り上がれるような、きっかけみたいなものが生まれるといいのかなと思います。

山形はスポーツチームに力を入れてて、試合の時は県全体で盛り上がるんですよ。そういう一体感はあるけど、どこに行くにもアクセスが悪いし、外からも来づらい。利便性のいいところのほうがいろんな経験もしやすいので、山形も岩手もアクセスがもっと良くなるといいんじゃないかと思います。

私が住んでいる地域も高齢化や過疎化が進んで、子どもがどんどん少なくなっています。このままだと地域が存続できない危機感があって、何かしら魅力をつくって少しでも若い世代を呼び込めないかなと思っています。

若者はもっと栄えて欲しいと思うかもしれないけど、都会と一緒になる必要はないかなと。東京はしんどい、そうやったら岩手に行こうって、選択肢の一つとして魅力的であるべきだと思います。どこに行っても同じような日本は嫌やなと思うので、ある意味、岩手はこのままでいいんじゃないかな。

本来の個性は守りつつ、若い世代にも「岩手っていいな」と思われる魅力を磨いていくこと、つくっていくことが大事かもしれないですね。

前回までの記事はこちら!↓
第1回:今どきのシューカツはAIが当たり前!?
第2回:選択肢が多いことが、就活の決め手になる!?
第3回:やりがいも大事だけど、働きやすさがもっと大事