interview
2025/7/23 掲載
ススム働き方改革/14

岩手県北上市で、農業・畜産業・飲食業など、農や食に関わる幅広い事業を展開している株式会社西部開発農産。
人口減少や高齢化の影響で農業の担い手が減り、耕作放棄地が増えるなか、引退する農家から農地を引き継ぎ、農作業の受託を行うなど、地域の農業を支える取り組みも続けています。
こうした担い手不足をはじめとした課題解決に向け、働き方改革を積極的に行っている西部開発農産に、新しい農業の働き方を実現するための挑戦やその想いをお聞きしました。
「農業は仕事の特性上、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用除外とされています。しかし、これからの農業のことを考えると、そのような環境のままでは担い手が増えていかない。そうしたなかで、まずは他産業と同じ労働条件を実現しようと、働き方改革に関する取り組みを始めました」
と話すのは、西部開発農産・代表取締役社長の照井 勝也(てるい・かつや)さん。
1993年に家業として継承されてきた同社で働き始め、2012年に代表取締役社長に就任。当時、全国平均の年間休日数が105日(※)だった一方で、西部開発農産の年間休日数は、約70日でした。
※参照:平成25年就労条件総合調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/13/index.html
作業できる日が天候に左右されることや、農作物のことを第一に考えて行われる仕事だからこそ、勤務日が不規則になり、休日数が少ない職場環境になっていたことを照井さんは問題視し、年間休日数の増加を目指した取り組みを始めたといいます。

年間休日を事前に確保
「勤務カレンダー」の作成
西部開発農産が行っている働き方改革のひとつめは、労働時間の適正な管理と効率的な労働体制の構築。
その具体的な取り組みとして行っているのが、年度当初に作成し、毎月始めに見直しを行う「勤務カレンダー」の作成です。
社員全員が目標の年間休日数を確保できるように、月ごとの休日数を予め設定し、作物の生育状況や天候に関わらずシフト制で休みが取れるような仕組みを導入しました。
「休日がしっかり確保できるようになったら、今度は社員一人ひとりが限られた勤務時間の中で必要な作業をどう終わらせるかということを意識して働く雰囲気が醸成されました。勤務カレンダーを作成することが、効率的な労働体制をつくることにつながっています」


天候などに左右されず、勤務日がシフト制で決められていると、安心して働くことができますね!
最新テクノロジーを導入し、業務負担を軽減
ふたつめに行っているのは、ICT技術を導入した業務の自動化・効率化。
トラクターの自動操舵運転装置や完全自動飛行型ドローンなどのスマート農業技術を導入し、作業者の負担軽減と作業効率の向上に取り組んでいます。
「走行や飛行が自動になるだけでなく、散布する農薬や肥料などの量も作業している農地の面積に合わせて調整してくれるので、農作物の質を上げることにも、適正なコストを保つことにも、いい効果が現れています」

アプリ内には、作業を行う圃場の面積や育てている作物の種類、これまで行ってきた農作業の記録などが保存されています。
「地図アプリを導入したおかげで、作業員がこれまで行ったことのない圃場にも一人で行くことができたり、その圃場で前に作業をした人がどんなことをしていたのかをチェックして、自分が次にどんな作業をするか確認できるなど、作業の効率化を図ることができています。
休日数を確保し勤務日をシフト制にするためにも、農作業の記録や圃場の情報が口頭で引き継がれるのではなく、アプリに記録されるのはとても重要なことなんです」


機械の操縦や、圃場の記録の管理など、複雑な作業がテクノロジーによって効率化されることで働きやすい仕組みが整えられているんですね!
これからの地域の農業を守るために
これまで行ってきたさまざまな取り組みを通して、2024年度の年間休日数の実績は年107日に。また、2025年度は年間休日数110日を予定しています。
照井さんは、社員一人ひとりが働きやすい環境を整えるために行ってきたこれまでの取り組みの成果を実感しているそう。
「今年度には、全国平均を上回る年間休日数の確保を予定しているので『他産業並みの労働条件を整える』という目標は、ほぼ達成に近づいています。この状態が一時的なものにならないように、これからも作業の効率化や労働体制の構築を意識し続けていきたいです」
照井さんが、これだけ社員の働く環境の改善を意識しているのは、「農業の担い手不足を解消する」という大きな問題意識があるからこそ。
西部開発農産は、事業として農作業の受託を行っていることもあり、近年は北上市内の個人農家から田んぼや畑などの農地を引き継ぐことも多いといいます。
「農家を引退される方たちの農地を引き継いでいくということはもちろん、これから農業を始めようとする方を迎え入れて一緒に働いたり、農業法人を経営したいと思っている方に私たちが持っているノウハウを伝えられるようにするためにも、まずは私たちのような企業が、働く環境をよりよく整えるということが大切だと思っています」
高齢化や人口減少で農家が減少しているなか、農業法人として、地域の農地を守り、担い手を増やす役割を担っていきたいと語る、照井さん。
農業の働き方のイメージを大きく変える、西部開発農産の挑戦はこれからも続いていきます。
(取材時期:2025年6月)
西部開発農産に興味を持った学生さんにメッセージ!
私たちは、「食」という、人間が生命を維持していくうえで必要不可欠なものを生産していることに自信と誇りをもっています。日々の食事をおいしいと楽しんでもらえるよう、今後も農地を守り、安心できる農産物の生産に励み、皆様への安定した「食」の供給に努めてまいります。
農業に従事してみたい学生や「食」で多くの人々を支えていきたい学生をお待ちしております。

■株式会社西部開発農産
本州最大級の約970ヘクタールの農地に、水稲・大豆・小麦・蕎麦の穀類栽培のほか、黒毛和牛の生産、直営飲食店の運営など、農業や食にまつわる複合経営を行っています。
種を播くところから人が食べるまで、一貫した業務を自社で行うことで、安心・安全はもちろん、「食」のおいしさと楽しさをお客様にお届けし、喜んでいただける企業を目指しています。
▶シゴトバクラシバいわて
https://www.shigotoba-iwate.com/kyujin/company/64000010085170