interview
2024/7/23 掲載
ジャジャーン!自慢プロダクト/05
普段よく目にするモノから、知る人ぞ知るスゴいモノまで、ものづくり王国・岩手には、おもしろいプロダクトがいろいろ!ここでは、メーカー自慢のプロダクトと、それにまつわる開発ストーリーをお届け。業務用トレッドミル(ランニングマシン)の国内トップのシェアを誇る大武・ルート工業。特徴である「オーダーメイド」のトレッドミル、そのこだわりとは。
皆さんは、日頃運動をしていますか?体力の維持やダイエットを目的に、自宅でトレーニングをしたり、スポーツジムに通っている方もいるかと思います。
今回の主役は、スポーツジムでも目にすることが多いランニングマシン。別名「トレッドミル」とも呼ばれています。一関市に国内で唯一のトレッドミル専門メーカーがあります。
このトレッドミルには、どんな特徴がありますか?
TreadMasterは床から走行面までの高さが世界最薄・35mmと、低床設計になっているのが特徴です。子どもや高齢者、車椅子でも乗り降りしやすく、安心してリハビリやトレーニングができるように設計しています。
また、走行板には国産天然木を使用しています。使い込むことでより滑らかになっていく木材の性質をうまく活かし、摩擦が少なく耐久性に優れているのも、自慢のポイントです。
薄型のトレッドミルを開発しようとしたきっかけはなんですか?
社長のお母さまが骨折して入院したことがあったのですが、その際に入院した病院にリハビリに安心して使用できるトレッドミルがなく、「ないならつくっちゃおう」と思い立ったのが始まりです。
これまでのトレッドミルだと、床面からの高さがあり、高齢者や歩行が困難な人にとっては足を走行板に乗せる時や訓練する際の不安感、転倒時のリスクがあります。その為、予算が潤沢な施設では床にトレッドミルを埋め込んでいました。
ただし床に穴を掘って埋め込む為、既存の施設や、2階以上への設置が難しかったのです。トレッドミルを低床化することでそういった問題を解消できるのでは?と思いついたんです。
薄さと耐久性の両立には相当苦労しました。そこから何度も試作を重ね、商品化することに成功しました。
一つひとつの製品をオーダーメイドでつくられているとのことですが、どんな意図があるんでしょうか?
オーダーメイド品は工数がかかるため、大量生産と比べると効率性は落ちますが、その分細かいニーズに応えられるという利点があります。
一時期はスポーツジム向けのトレッドミルを製造していたこともありましたが、海外製の安価な製品が出回り、受注が減ってしまったことがあったんです。そこで、医療や研究開発用などのニッチ分野にシフトし、特注品に特化して製造を行うようになりました。
特にリハビリテーションや研究用の場合、目的や用途に応じてきめ細やかな設計が必要です。これまで培ってきた技術力を生かし、よりよい商品を提案できるのが私たちの強みです。
お客様のニーズを開発にも活かせるので、そこがやりがいにつながっていますね。
他にも大武・ルート工業では国内トップシェアの自動ネジ供給機を製造しており、世界約50カ国に輸出するなどグローバルに展開しています。オーダーメイドで勝負するのは、相当な覚悟と自信があってこそ。積み重ねた技術と、細かいニーズに応えたいという気持ちが、国内外から評価される製品づくりにつながっているのだと感じました。
(取材時期:2023年12月)
大武・ルート工業に興味を持った学生さんにメッセージ!
一関本社、仙台に営業部、また海外にも拠点をおき、主力製品である自動ネジ供給機は世界50ヵ国へ製品を展開。少人数で幅広に各自の力量を存分に発揮できる環境でもあります。将来を見据え大学と共同開発しています。
■株式会社大武・ルート工業
オーダーメイドトレッドミルの設計から製造まで一貫生産が行える国内唯一の専門メーカー。大学や研究機関などとの共同研究開発にも力を入れており、長年培ったオンリーワンの技術力を活かしたものづくりを行っています。世界で初めて「レール交換方式」を考案した自動ネジ供給機は国内トップシェアを誇り、世界50カ国以上に輸出されています。
■ウェブサイト
https://ohtake-root.co.jp
▶シゴトバクラシバIWATE
https://www.shigotoba-iwate.com/kyujin/company/94005010000780