interview
2024/3/27 掲載
あつまれ!熱血技術者/02
ものづくりに魅せられ、自分の仕事に心血を注ぐ技術者たち。彼らは、どんなことにこだわり、どうやって課題をクリアしていくのか?ものづくりの世界で凌ぎを削る、熱き技術者たちに迫るこのコーナー。今回は、一戸町にある株式会社柴田産業の安ケ平和希さんの登場です。
ここは、一戸町奥中山。国道から山間部に向かって車で10分ほど行くと、伐採を終えつつある山が見えてきました。木を伐り出し、丸太を運搬するのは、たった2台の機械のみ。他に作業をする人は…どこに?
「ひと山全部、2台の機械だけで作業したんですよ」と現れたのは、柴田産業の安ケ平和希(やすがひら・かずき)さん(33)。オーストリア製の「ハイランダー」という最新の機械を操り、木の伐倒から枝払い、「玉切り」といって一定の長さに丸太を切り揃えるまでを一人でこなします。
その丸太を運搬するのは、高い運搬力を誇るスウェーデン製の「フォワーダー」。どちらも「次世代型」と呼ばれる高性能な林業機械で、この2台を揃えてヨーロッパ型の短幹集材(丸太の状態で集材すること)システムを実現。これまで機械4~5台と4人の人員が必要だった作業を、2台と2人で行えるようになったというから驚きです。
「最初は森林組合に入ったのですが、新しいことにどんどん挑戦する柴田産業に惹かれて転職したんです」と、安ケ平さん。
柴田産業は、「世界スタンダードの林業」を掲げ、現場作業の効率化を進める業界のトップランナー。次世代型の林業機械の導入やICTを活用したスマート林業の実現のほか、洒落たユニホームなども取り入れ、3K(キツい・汚い・危険)といわれた林業のイメージを変えつつあります。
適性を認められてハイランダーの操縦者に抜擢されたという、安ケ平さん。他に操縦できる人は専務しかいないため、それなりにプレッシャーを感じたといいます。
「他の機械にも乗っていたんですが、ハイランダーは全然違う。一台で何役もこなすマルチな機械なので、一連の動きや操作の加減をつかむのが難しくて」。最初こそ戸惑ったものの、3ヶ月で操作技術をマスター。慣れてくると仕事の楽しさがどんどん加速していったとか。
「作業効率が良く、あっという間に丸太が積み上がるので、木を伐るのが楽しくて、楽しくて。作業上の危険も少ないので安全ですし、安心して仕事に集中できますね」と、安ケ平さん。
とはいえ、現場によって山の状況も違えば、木の状態も一本一本違うため、ただ切り倒せばいいというわけではありません。操縦者の「技術」が、作業効率やスピードを左右します。
「手入れがされていない山だと、枝があちこちに生えて伐りにくいですし、木の曲がり具合や太さなども違います。それを瞬時に的確に見極めて、木に合った伐り方をしなければならないので、そこは神経を使いますね」
現在、木を伐り出す素材生産部門は3班体制。そのうち安ケ平さんは、相方の社員と2人班で、機械作業で完結できる現場を担当しているそう。仕事自体は機械を駆使してスムーズに進みますが、意外にも大事なのは人に対する「思いやり」だと、安ケ平さんはいいます。
「常に、次の工程を担う人がやりやすいように作業することを大事にしています。もっと先のことを言えば、植林をする人が木を植えやすいように。目先のことだけではなく、次のこと、山のサイクルのことまで見据えて仕事をしているんです」。
大好きな自然の中で働くことができ、
季節の変化を感じられること。手がけた木材が形を変え、使う人のもとへと、物語がつながっていくことも、「林業の魅力」と語る安ケ平さん。
社内には女性のフォレストワーカーもいて、別の業界から転職してくる若者も増えているという柴田産業。
これまでのイメージを覆す「かっこいい林業」を発信しながら、林業や地域をもっともっと盛り上げていきたいと、安ケ平さんは考えています。
(取材時期:2023年10月)
柴田産業に興味を持った学生さんにメッセージ!
皆様!! 日本にとっては最新の林業機械ですがヨーロッパでは路線バスくらい普通の機械です。弊社は10年前からヨーロッパ林業を日本でやろうと挑戦しています。今後、人口減少、高齢化、少子化と未来は暗いと思われがちですが、林業をハブとした地域循環経済を確立しストレスフリーの社会を一緒に作っていきませんか?やる気のある学生には資格取得など応援します。
株式会社柴田産業専務取締役 柴田智樹
■株式会社柴田産業
『岩手の山を元気にする木材屋』をキャッチフレーズに、森と人と地域をつなぎ、林業による地域活性化に取り組んでいます。最先端の林業機械の導入やICTを活用した「スマート林業」の実用化を進めながら、素材生産から木材の製材・加工、チップ製材、森林整備まで幅広い事業を展開。また、林業を起点とした地域ネットワーク「ローカルSDGs(地域循環共生圏)」を構築し、新たな仕組みづくりにも挑戦しています。
▶︎企業URL
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▶︎シゴトバクシバIWATE
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