interview
2024/3/25 掲載
こんな仕事があるのか岩手/06
「地方は仕事が少ない…」と思っているとしたら、それ、誤解です。岩手には意外な職種や面白い仕事がいろいろあるんです。今回ご紹介するのは、岩手県企業局の仕事。聞きなれない名前ですが、電気や機械、土木を学んだ技術職の人が多く働く部署で、発電事業を行っています。その仕事の様子をのぞきに発電所にお邪魔してきました。
岩手県で運転している発電所はいくつあるでしょう? 答えは20。水力・風力・太陽光による発電所があり、そのひとつが盛岡市街からもほど近い「四十四田発電所」です。
四十四田発電所で行うのは水力による発電。ダムの落差と水量を調整することで電気が生まれています。電気の安定供給のためには、「運転監視業務」と「保守業務」があり、高校や高専、大学で電気や機械、土木を学んだ職員が活躍しています。
運転監視業務では、天候などから最適な水量を予測し、効率的な発電が行われるよう調整するほか、県内で開催される催しのために水量を調整することも。「盛岡・北上川 ゴムボート川下り大会」や「盛岡舟っこ流し」、宮沢賢治が命名した「イギリス海岸」という河岸の出現などを支えているのが、この施設総合管理所です。
大変なのは、機器のトラブルや災害などで発電機が止まってしまった時。管理所からの操作のみですぐ運転再開ができるのか、人的対応や関係機関の協力が必要なのか、さまざまな選択肢の中から最善の判断が求められます。
一方、保守業務では、発電所内にある機器に異常がないか日々チェック。温度や圧力などの数値を確認・記録するほか、異音や異臭を察知して状態を判断するなど、頭脳と五感をフル活用して巡回します。
これに加え、万一のためのトラブル対策研修、機器を分解した大規模整備も保守業務の一環です。
どの業務も、専門的な知識や資格が求められますが、採用後の教育体制は万全。専門研修のカリキュラムも整っていて、電気のプロフェッショナルとして成長していくことができるそう。部署異動があっても、電気・機械職としての異動なので技術職としての経験を積んでいくことができます。
取材時に保守業務で行われていたのは、油流出対策の対応研修。先輩職員が見守る中、メインで説明をしていたのは採用5年目の菅野虹太さん(23)。先輩から教えてもらうことはもちろん、伝える側になってみることで気づきや学びもたくさんあるため、「指導役になることも大切」だと話します。
「私は話すことが苦手なのですが、コミュニケーションをとることを心がけています。危険も伴う部署なので、情報共有やチームワークが大切で、ちょっとした気づきや感じたことを気軽に意見できたり、声がけできる環境を日頃から整えておくことが安全な運用につながっていくと考えています」と菅野さん。
自身は小学生の時に東日本大震災で被災し、数日間電気がない生活を経験しています。
「電気がパッとついた時にすごく感動した記憶があるんです。日常的に使っている時は意識していないんですけど、電気の大切さを感じたんですよね。裏方ですが、みなさんの暮らしを支えていきたいと思っています」。
「人の役に立つ仕事がしたい」と志したという企業局の仕事。真摯に仕事に向き合う縁の下の力持ちがいてこそ私たちの日常が保たれています。
(取材時期:2023年12月)
企業局に興味をもった学生さんにメッセージ!
公務員と民間の経営感覚を併せ持ち、県政を陰で支える岩手県企業局です。2050年カーボンニュートラルの実現を目指して再生可能エネルギーの拡大と工業団地の生産活動を支える工業用水の供給に一緒に取り組みませんか!
岩手県企業局 経営総務室 特命課長 細川普基
■岩手県企業局
1955年、戦後の電力需要の拡大から発足した「電力局」が前身。水力発電所17箇所、風力発電所2箇所、太陽光発電所1箇所を運転する電気事業のほか、北上市と金ケ崎町の工業団地に工業用水を供給する事業も担っています。
▶︎企業局HP
https://www.pref.iwate.jp/kigyoukyoku/index.html
▶︎企業局職員採用情報(岩手県職員募集案内)
https://www.pref.iwate.jp/kigyoukyoku/1015479/index.html